経営サポート

子ども・子育て支援情報公表システム
「ここdeサーチ」の活用法と留意点

2025.11.06

  • #保育
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所轄の市により公表のタイミングは異なりますが、子ども・子育て支援情報公表システム「ここdeサーチ」により様々な情報が一般に公開されております。
このシステムは、保護者や地域に対して施設の透明性を高める上で非常に重要な役割を果たしています。
今回は「ここdeサーチ」が提供する情報と、今後の保育施設経営において特に留意すべき視点について、分かりやすく解説いたします。

1. 「ここdeサーチ」で公表される情報とは?

「ここdeサーチ」では、保育施設に関する多岐にわたる情報が公表されています。これにより、利用者は施設の運営状況や質について詳細に知ることができます。

(1) 基本的な運営情報

公表される情報には、施設の所在地や事業開始日といった基本情報が含まれます。また、施設の類型(例:認定こども園や幼保連携型など)、開所曜日や開所時間(平日、土曜日、日祝日)、そして施設の合計利用定員や年齢ごとの定員(利用定員等) など、具体的な利用条件が確認できます。

(2) 保育・教育の内容と環境

提供される保育・教育の内容に関する特色が公開されます。さらに、一時預かり事業や病児保育事業の実施の有無、施設の運営方針、さらには園舎面積や園庭面積といった施設の環境情報 も確認可能です。

(3) 職員体制と人材情報

職員に関する詳細は最も注目される情報の一つです。職種別の従業員数や、常勤・非常勤別の労働時間や経験年数、そして職員が有する免許や資格の状況 が公開されます。さらに、公定価格基準に対する実際の職員配置の状況 や、職員一人当たりの子どもの数 も公表されます。

(4) 財務と人件費、労働環境

施設の財務状況も公開の対象です。決算年月や、人件費比率(狭義および広義)などの収支の状況 が公表されます。また、職員の労働環境を示す指標として、平均時間外労働時間法定・法定外休暇の利用状況平均有給休暇消化率離職率 も示されます。モデル給与(経験年数や学歴に基づく月額給与と賞与の目安)についても情報が提供されます。

(5) 利用料と安全・苦情対応

利用者にとって直接関わる情報として、実費徴収の有無と、その理由(例:給食費、保育教材費など) が公開されます。また、利用者からの要望、相談、苦情に対応する窓口の情報 や、賠償すべき事故が発生した際の対応(保険の加入状況など) といった、安全管理体制についても確認が可能です。

2. 経営において特に気を付けるべき視点

これらの情報が公にされることで、施設の経営者は以下の視点を持ち、高い透明性と質の維持に努める必要があります。

(1) 人材の確保と定着(HR/人的資本)の明示

公表されるモデル給与や人件費比率は、施設がどれだけ職員に投資しているかの指標となります。特に、離職率、有給休暇消化率、平均時間外労働時間など、労働環境の健全性を示す数値は、職員採用や定着に直結するため、継続的な改善が必須です。 経営者は、これらの数値を良好に保つための具体的な人事戦略を立てる必要があります。

(2) 財務の健全性と説明責任

人件費比率を含めた収支の状況が公表されるため、経営の健全性が外部からチェックされます。公定価格の中で、適正な支出を行い、利用者や地域に対して透明性の高い経営を行う説明責任が求められます。

(3) 業務効率化への積極的な取り組み

ICTツールやIoTデバイスの導入状況 も公開されています。これには、園児の登降園管理、保護者との連絡、保育記録の作成、保育料計算、さらにはキャッシュレス決済機能、見守りタグの利用など、多岐にわたる項目が含まれます。経営においては、これらの技術を積極的に活用し、業務負担を軽減し、より質の高い保育に時間を費やすための取り組みが期待されます。

まとめ

「ここdeサーチ」による情報公開は、施設の質の向上と利用者の選択肢の拡大に繋がります。経営者は、公表されるデータを通じて、自施設の強みと課題を客観的に把握し、より地域に信頼される施設運営を目指すことが重要です。

引き続き、皆様の事業運営をサポートしてまいります。ご不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。