埼玉県歯科医師会での事例

勤務中の事故で前歯を折ったため、労災保険を使ってセラミックのクラウンをかぶせる治療を行った。
治療費を一旦全額自己負担し、その後、労働基準監督署に労災保険の請求を行ったところ、請求額のうち消費税相当額が支給されなかった。
調査の結果、労災保険が適用される歯科診療は、原則として消費税が非課税であるためだった。
一方で、労働局や労働基準監督署が、患者や歯科医院に対してその点を十分に説明しておらず、
歯科医院側も誤って消費税相当額を徴収してしまう事例が発生している実態が明らかになった。
総務省より>>
上記事例に対してクリニック側で注意しなければならないこと

①労災診療は“非課税”一消費税を上乗せしないことが最重要一
労働者災害補償保険法による「療養の給付」に該当する診療費は、消費税法上非課税取引となりますので、労災診療の請求では消費税を加算しないでください。
窓口での患者様への請求の際にも注意が必要です。
労災か健康保険かを曖昧にしたまま受付し、文書料や処置料に消費税を上乗せして請求してしまうと、後日返金・再計算が必要になってしまう場合もあります。

②文書料・補綴など追加項目の取り扱いに注意
診断書・意見書・補綴物などは、労災給付対象かどうかで扱いが変わります。労災給付の対象文書は非課税、対象外は課税(患者負担)となります。保険外材料の補綴は、8万円まで労災独自の給付対象となる場合があります。
③労災診療報酬の単価は12円であることに注意
健康保険の1点=10円に対し、通常は1点あたり12円(課税医療機関)または11.5円(非課税医療機関)で計算され、健康保険点数表を基準にしつつ、独自の特例(例:再診料1,400円、処置の読み替えなど)が設けられています。
実務でできる対策について
実務では、実際に受付をするのはスタッフであることが多いです。受付対応の仕方について、下記のような院内ルールを設定することで対策が可能です。
・受付時に「本件は労災ですか?」を必ず確認
・労災請求では消費税を含めないルールを統一
・文書料・補綴物は労災給付対象かを事前確認
労災診療は、健康保険診療とは異なる独自の取扱いが多く、受付や請求の場面で判断に迷いやすい分野です。そのため、受付時には「本件は労災に該当するか」を必ず確認し、労災の可能性がある場合は、通常診療とは切り分けて対応することが重要です。

労災による診療の取り扱いは、消費税の負担により患者様とのトラブルの原因となることがあります。今回は、埼玉県歯科医師会での事例を参考に、労災保険非指定の歯科医院経営で注意したい消費税関係についてご紹介します。