会計・税務 法改正

「103万円の壁」引き上げに伴う労働時間の影響

2025.05.01

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2024年12月20日に2025年度税制改正大綱が公表されました。その中で「103万円の壁」の改正が発表され、現在扶養の範囲で働くパートスタッフ、学生アルバイトの働き方が大きく変わることが想定されます。
※2025年3月31日時点の内容です。今後内容が変更される可能性がございます。

 令和7年以降は、所得税が0円となり、「扶養の範囲」となる収入、及び所得は以下のとおりです。
「年間の合計所得金額が58万円以下(以下のC)となります。」

所得計算比較表

A

収入(給与のみ)

B

給与所得控除

C(A-B)

合計所得

D

基礎控除

E(C-D)

課税所得

令和6年以前 103万円 ▲55万円 48万円 48万円 0円
令和7年以降 123万円 ▲65万円 58万円 58万円 0円

パートスタッフの場合

配偶者控除の対象となる給与収入(103万円の壁)は123万円に引き上げられましたが、配偶者特別控除(201万円の壁)の要件の改正は発表されておりません。

学生アルバイトの場合~特定親族特別控除(仮称)の創設~

 年末時点で19歳以上23歳未満の扶養親族の親等が扶養控除の適用を受けるには、扶養親族の給与収入額が103万円以下(所得48万円以下)である必要がありました。今回の改正により給与収入150万円以下(所得85万円以下)であれば親等が従来の63万円の所得控除を受けられます。また、150万円を超えても段階的に控除が逓減される制度となります。

壁の引き上げに伴う、労働時間の変動(社会保険は考慮外)

①パートスタッフの場合(時給1,163円の場合)
 1,030,000円÷1,163円=約885時間
 1,230,000円÷1,163円=約1,057時間
 年間172時間分(月間14時間)の労働時間が増加します。

②学生アルバイトの場合
 1,500,000円÷1,163円=約1,289時間
 年間404時間分(月間33時間)の労働時間が増加します。

年収の壁を理由に、シフトの確保や時給の引き上げ等にお困りであれば、改正を機会にご検討してみてはいかがでしょうか。