労務

全都道府県で最低賃金が時給1,000円超え!
最低賃金引き上げについて

2025.10.21

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今年の最低賃金は、全国平均で過去最大の引上げとなりました。最低賃金の増加は23年連続となっています。
スタッフの給与水準や人件費への影響が避けられない中、クリニックとしても早めの対応が求められます。補助金なども上手に活用し、無理のないクリニック経営を進めていきましょう。
本記事では、最低賃金の確認方法や適用基準日についてご説明いたします。

最低賃金引き上げについて

最低賃金制度とは

最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。
厚生労働省より地域別最低賃金の答申について発表されました。当初引上げ額の目安は過去最高となる63円でしたが、最終的には63円~82円の引上げとなり、全国平均は66円増の1,121円となる見込みです。(令和7年9月5日現在)
発効年月日が10月~翌年3月と自治体によって異なりますのでご注意ください。

 

■ 最低賃金
資料出所:厚生労働省「地域別最低賃金改定状況」

■改定される最低賃金額(日付は発効年月日)
東京都    1,163円 → 1,226円  10/3       神奈川県    1,162円 → 1,225円  10/4
千葉県    1,076円 → 1,140円  10/3       埼玉県     1,078円 → 1,141円  11/1
茨城県    1,005円 → 1,074円  10/12

 

下記、URLより各都道府県の最低賃金が確認できます。
https://saiteichingin.mhlw.go.jp/

最低賃金の確認方法と適用基準日

最低賃金は時給で表示されますので、基本的にすべて時給に換算して確認します。

■最低賃金の換算表

時給 時間給≧最低賃金額(時間額)
日給 日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
月給 月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

出典:厚生労働省ホームページ

■月給制の場合の換算方法

【従業員Aさんの情報】

基本給   200,000円

職務手当    30,000円

通勤手当    12,000円

時間外手当   35,000円

―――――――――――――――――――――

合計    277,000円

……………………

労働時間/日   8時間

年間労働日数   250日

東京都の制定賃金 1,226円

 

下記の情報をもとに従業員Aさんの時給について、確認してみましょう。
支給合計額277,000円から対象外となる通勤手当、時間外手当を除外します。

(この他、除外される手当には慶弔手当など臨時的なもの、固定残業代、休日手当や精皆勤手当、賞与などがあります。)

¥277,000-(¥12,000+¥35,000)=¥230,000
月給から時給を求める場合は、年間の総支給額を年間の総労働時間で割ることで算出できます。

(¥230,000×12ヶ月)÷(8時間×250日)=¥1,380 > ¥1,226
計算された時給は1,380円ですので最低賃金額以上と確認できました。

■改定された最低賃金の適用基準日

改定された最低賃金は、労働日(勤務日)を基準に適用されます。
例)15日締め当月25日払いのクリニック 発効年月日:2025年10月3日
9月16日~10月2日・・・今までの賃金  10月3日~10月15日・・・改定後の最低賃金が適用
計算の煩雑さを避けるため、改定前の給与計算期間については、最初から最後まで労働者に有利な新しい最低賃金で支給しても問題ありません。

 

最低賃金の引き上げを受け、厚生労働省や中小企業庁では、中小企業・小規模事業者の賃上げを支援するための施策を強化しています。
業務改善助成金やキャリアアップ助成金などの助成制度に加え、補助金や税制優遇措置も拡充されています。
最低賃金の引き上げと基礎控除額の見直しにより、従業員の労働時間の増加が見込まれるため、
賃上げ促進税制の適用をより受けやすくなることが期待されます。

賃上げ促進税制については、メディカルアイ#24で詳しく紹介していますので、気になった方はあわせてご覧ください。