会計・税務
財産債務調書・国外財産調書の全体像
― 対象者・対象財産・未提出時の取扱いを徹底整理
2026.04.06
■財産債務調書の提出が必要な方
以下のいずれかに該当する場合、提出義務があります。
①年間所得(退職所得を除く)が2,000万円超で、かつ以下のいずれかに該当
・2025年12月31日時点の財産の合計額が3億円以上
・有価証券等の合計額が1億円以上
②2025年12月31日時点で所有する財産の価額の合計が10億円以上の居住者
■対象となる財産について
対象となる財産については、下記の通りとなります。
・動産、不動産等
・預貯金
・保険金
・貸付金
・有価証券(株式や社債など)
・海外不動産、海外金融資産等
※5,000万円超の場合は国外財産調書の提出が必要です
※判定時の注意事項
・財産額の合計には国内外すべての財産を含めます。
・合計額からは債務(借入等)は差し引きません。
・医院・クリニックで所有している財産のみならず、個人の財産も対象です。
・相続や遺贈により財産を取得した場合、その年分の財産債務調書には、相続や遺贈で取得した財産や債務を記載する必要がないので、提出義務の判定についても、相続・遺贈で取得した財産は除外して行います。
■財産債務調書を提出しない場合の取扱い
制度では正確な申告を促すため、以下の措置があります。
● 期限内に提出し、調書に記載した財産に申告漏れがあった場合
→ 過少申告加算税などが 5%軽減
● 未提出、または記載すべき財産の記載漏れがある場合
→ 過少申告加算税などが 5%加重
■国外財産調書の提出が必要な方
居住者で、2025年12月31日時点に5,000万円を超える国外財産を所有している方は、国外財産調書の提出が必要です。
※国外財産調書を提出していても、財産債務調書の提出義務がある場合は両方提出が必要です。
■対象となる国外財産について
対象となる財産については、下記の通りとなります。
・動産、不動産、借地権等
・預貯金
・保険金
・貸付金
・有価証券(株式や社債など)
■対象となる財産の評価方法
海外財産については、時価にて評価されます。
国外財産調書には、日本円で記載するので、TTB(金融機関が顧客から外貨を買い取る際のレート)を用いて円換算をし、調書に記載します。
■国外財産調書を提出しない場合の取扱い
● 期限内に提出し、調書に記載した国外財産について申告漏れが生じた場合
→ 過少申告加算税などが5%軽減
● 未提出、または記載すべき国外財産の記載漏れがある場合
→ 過少申告加算税などが5%加重
一定以上の所得があり、国外に財産を保有している場合には、財産債務調書や国外財産調書といったものの提出が必要であり、且つ適切に提出が為されれば上記のような優遇措置もとれることを知っておきましょう。
クリニック経営による収入だけでなく、不動産収入や株式保有による譲渡所得など、院長の収入源は多様化しています。さらに近年は、通貨変動リスクを意識し、海外資産を活用するケースも増えています。
そうした場合、一定の条件に該当する場合には、通常の所得税確定申告とは別に財産債務調書や国外財産調書を作成し、翌年6月30日までに、所轄税務署に提出する必要があります。
今回は、この財産債務調書及び国外財産調書についてご説明いたします。