2024年5月14日に衆議院本会議にて「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律」及び「公益信託に関する法律」が可決・成立し、5月22日に公布されました。
公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律は2025年4月から施行予定、公益信託に関する法律は2026年4月から施行予定となっております。
今回は2025年4月から施行予定の公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律の趣旨・概要を見ていきます。
1. 趣旨
公益法人は、法人数約 9,700、職員数約 29 万人、公益目的事業費年間約5兆円、総資産約 31 兆円となっており、民間における公益の担い手として大きな潜在力を有している。
現在の社会において、多様なニーズに柔軟・迅速に対応し、その潜在力を発揮できる仕組みを作るとともに、税制優遇措置や国民から寄附を受けている立場として透明性向上やガバナンス充実により国民からの信頼・支援を得やすく、使いやすい制度へと見直す。
2. 概要
(1) 財務規律の柔軟化・明確化
収支相償原則(公益目的事業は費用を超える収入を得てはならない)を見直し、中期的期間(内閣府令で定める期間)で収支の均衡を図る趣旨を明確化
将来の公益目的事業を充実させるための積立金を規定(積立ては費用とみなす)し、より柔軟な資金管理を可能とする
遊休財産規制を見直し、保有制限を変更し、名称も「遊休財産」から「使途不特定財産」に変更する
災害や感染症等の予見困難な不測の事態に備えるための「公益目的事業継続予備財産」を上記の使途不特定財産の保有制限算定の対象から除外するとともに、同財産の保有について理由公表を義務付ける
(2) 行政手続の簡素化・合理化
収益事業等の内容の変更について、認定事項から届出事項に見直される。(公益目的事業の変更についても内閣府令等で手続きの簡素化を予定している)
(3) 自律的なガバナンスの充実、透明性の向上
公益法人の財務情報をわかりやすく開示するために、公益目的事業・収益事業等・ 法人運営の3区分経理を原則義務付ける
公益認定の基準として次の項目を追加します。
①理事・監事間の特別利害関係の排除
②外部理事・監事の導入
あわせて、公益法人は、事業報告に適正な運営のために必要な事項(ガバナンス充実に向けた自主的な取組等)を記載すること
ガバナンスの充実や透明性の向上を図るよう努めることは、公益法人の責務として規定し、あわせて国の責務として情報収集や提供等で公益法人の取組の支援を行う旨が規定される。
以上になります。
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