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新規開業における資金調達について

2024.11.07

  • #医科
  • #歯科
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はじめに

診療所を開業するためには、土地や建物、または賃貸物件の探索、建築や内装工事の見積もり、医療機器や医療材料の購入などが必要です。そのため、まず必要になるものが開業資金です。
医師の中には全て自己資金で賄える方もいらっしゃるかもしれませんが、多くの方は金融機関などからの借入を検討することになるでしょう。今回は、必要開業資金の目安や調達方法についてお伝えいたします。

1. 診療科別の開業資金

診療所の開業資金は、開業後の運転資金も合わせておおよそ5,000万円から1億ほどが必要とされていますが、その金額幅は診療科目によって異なります。診療科別に開業資金の目安をまとめましたので参考にしてください。

※令和6年2月時点の数字

2. 資金調達先の種類

公的融資:日本政策金融公庫からの融資
利率が低いことがメリットです。融資上限額は設備資金の場合最大7,200万円(うち運転資金が4,800万円)です。(※令和6年2月時点)返済期限は最長で20年と長く、元本返済を据え置く最初の2年間は支払利息のみの返済も可能です。また、他の金融機関よりも比較的に無担保・無保証での融資が受けやすいことが特徴です。
制度的融資:信用保証協会に保証してもらう
信用保証協会の保証を利用して民間の金融機関から融資を受ける事が可能ですが、保証料が別途発生します。
プロパー融資:民間の金融機関からの融資
大手銀行や地方銀行、信用金庫から融資を受けます。融資を受けるための担保や保証人が原則必要となります。ただし、最近では開業医ローンやクリニックアシストなど、新規開業に特化した貸出商品や無担保の開業サポートなども用意されています。
その他
(独)福祉医療機構からも融資が受けられます。融資額も大きく、返済期間も長いですが融資の条件や要件があります。
新規開業時に全ての医療機器を一括で購入せず、一部分をリース契約にすることで初期費用を抑える効果があります。
リース契約の場合、毎月定額のリース料を支払いますので、資金計画が立てやすく、特に開業時に充分な運転資金での経営をする為にはリース契約の検討も必要です。

3. 事業計画書の作成

開業資金額が概ね固まったとしても、すぐに資金調達が叶うわけではありません。資金を調達するためには綿密な事業計画書の作成が必要です。
融資を行う金融機関などは、借り手の返済能力の有無を判断する必要があります。そのため、経営実績・担保・保証能力・事業計画書などを判断材料として用意する事になります。新規開業の場合は経営実績が無い為、特に事業計画書が重要となります。
事業計画書の作成にあたっては、まず収入と経費の計画を立て、医療損益や資金繰りのシミュレートをしていきます。その中で、返済可能な事業計画書を作成する必要があります。

4. 円滑な資金調達のポイント

① 資金調達で困ること
・担保がないこと
・担保があってもローンが残っていること
・保証人がいないこと
・自己資金が少ないこと
※自己資金0円で融資を受けることは難しいため開業資金の2割程度の自己資金を用意する必要があります。

 

② 返済期間設定に注意
利率も大切ですが、返済期間を身長に検討することが必要です。
返済期間が長ければ月々の返済額が少なくなります。利率を優先して返済期間を短くすると資金繰りがショートする可能性が高くなるため、できる限り返済期間を長くすることがお勧めです。

 

③ 融資してもらえる事業計画とは
・明確な医院経営のビジョンを数値化すること
・実行出来うる計画を立てること

 

診療でお忙しい中、開業準備を進めながら事業計画書の作成や、融資面談を独力で行うことは大変ハードなものとなるでしょう。是非、医療特化した税理士にご相談ください。事業計画書作成のサポートや融資先との話し合いを含む、新規開業に関わる業務をサポートさせて頂きます。