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厳しさを増す介護業界の経営環境:M&Aによる事業拡大という選択肢と最適な手法

2025.12.08

  • #介護・障がい福祉
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介護業界は成長産業と言われていますが、その一方で、介護事業所の倒産が現在、過去最多を記録しています。主な原因は人手不足による採用難・賃金競争激化と介護報酬改定による減収です。また、会社経営者の高齢化も進んでおり、後継者不在に頭を悩まされている経営者も少なくありません。

こういった課題を、M&Aによって解決できる場合があります。今回はM&Aについてご紹介します。

介護業界の今

介護業界は成長産業と言われていますが、その一方で、介護事業所の倒産が現在、過去最多を記録しています。主な原因は人手不足による採用難・賃金競争激化と介護報酬改定による減収です。我が国の人口構造や国家財政を鑑みると、この人手不足は今後更に深刻化し、介護報酬の大幅な増加も見込めそうにありません。介護事業所は今後、ますます厳しい経営環境にさらされることになりそうです。

また、会社経営者の高齢化も進んでおり、後継者不在に頭を悩まされている経営者も少なくありません。この課題も、M&Aによって解決できる場合があります。

M&Aのメリットとは

一般的に会社規模が大きくなることで、以下のようなメリットが得られます。

・採用活動の優位性向上

・介護報酬の各種加算取得

・バックオフィスの一元化によるコスト削減

・後継者不在の解決策に

介護業界で選ばれるM&A手法は?

一口にM&Aと言っても、事業譲渡、合併や株式譲渡等、様々な手法がありますが、介護業界では手続きの簡便さから株式譲渡と事業譲渡が選ばれる事が多いと言われています。

理由は、合併や会社分割等の他の手法に比べ、事務負担が少ないためです。

合併の場合

債権者保護手続等の会社法上の手続きや、税務・労務の届出、各種契約の再締結などの一般的な手続きに加え、介護事業所の指定事業者は事業所ごとに市町村から認可を受けている特性上、改めて事業所ごとの指定再申請を市町村に行う必要があり、非常に事務負担が大きくなります。

株式譲渡の場合

会社のオーナーである株主が変わるのみであるため、会社法等の各種手続きや、介護事業所の指定事業者に関する市町村への再申請等は基本的には不要です。

事業譲渡の場合

会社法の手続きや事業所の再申請等が必要ですが、比較的合併よりも事務負担が少なく、「特定の事業所だけを買いたい・売りたい」というニーズにも対応できるため、選ばれる事が多いです。

また、株式会社は医療法人や社会福祉法人等と合併ができません。これらの法人から福祉関係事業を承継するには、事業譲渡が唯一の手法となります。

まとめ

M&Aの手法が同じであっても、詳細な契約内容や資本関係等によって税務上の処理が異なり、想定外の税金が発生する場合があります。また、会社だけではなく、経営者個人の税金に関しても、役員退職金や株式の譲渡所得など多岐にわたる留意事項があります。

 

弊法人では介護事業所のM&Aに関する税務相談や、M&A実行のための専門的な情報提供も行っております。

M&Aをご検討の際は、ぜひお問い合わせください。