会計・税務

2026年度本格実施「こども誰でも通園制度」の
重要ポイント解説

2026.04.06

  • #社会福祉法人
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2026年度より、すべてのこどもの育ちを応援する「こどもまんなか」社会の実現に向け、「こども誰でも通園制度」が本格実施されます。
今回は、社会福祉法人の経営を担う理事長の皆様に向けて、経営戦略や社会貢献の観点から押さえておきたい変更点、手続き、会計・税務のポイントを整理いたします。

「こども誰でも通園制度」とは?

「こども未来戦略」に基づき、新たに創設されることとなったのが、「こども誰でも通園制度」です。
全てのこどもの育ちを応援し、こどもの良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付です。
2025年度に子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業として制度化し、2026年度から子ども・子育て支援法に基づく新たな給付として全国の自治体において実施されます。

1.2026年度から何が変わるのか?

本制度の最大の変更点は、子ども・子育て支援法に基づく「乳児等のための支援給付」という新たな給付制度として位置づけられる点です。

・権利性の発生

2025年度までは「事業」としての実施でしたが、2026年度からは給付制度となることで、利用者に一定の権利性が生じます。

・全国共通の実施

全国すべての自治体において共通の制度として実施されます。

・目的の明確化

保護者の就労要件を問わず、月一定時間(国基準:10時間)の範囲内で、時間単位で柔軟に利用できる仕組みとなります。

2.制度の受け入れは「義務」なのか?

市町村には提供体制の整備が求められますが、個々の施設に対して実施が義務付けられるものではありません。
事業を行う場合は、市町村へ申請し認可を受けることで実施が可能となります。
一方で、社会福祉法人にとっては以下のような意義があります。

・新たな社会的役割の確立

未就園児やその家庭を早期に把握し、地域の子育て支援拠点として「頼られる存在」となることが期待されます。

・人材の確保・定着

定員割れが生じている施設においては、保育士の雇用維持や事業の継続・発展につながる可能性があります。

3.事業実施に向けた主な手続き

実施を検討する際には、主に以下の対応が必要となります。

・市町村への認可申請

経済的基礎や設備・運営基準への適合について審査を受けます。

・定款の変更

本事業(乳児等通園支援事業)を第二種社会福祉事業として実施する場合、定款への記載および所轄庁の認可が必要となります。

・職員体制の整備

0歳児 3:1
1・2歳児 6:1

以上の配置基準を満たし、職員の半数以上を保育士とする必要があります。

・システムの導入

予約・データ管理・請求を一元化する「こども誰でも通園制度総合支援システム」の活用が想定されています。

4.会計処理と税制上の措置

法人経営において重要な会計・税務上の取扱いは以下の通りです。

・事業区分

常時保護を受ける者が20人以上の場合は、社会福祉法上の「第二種社会福祉事業」に該当します。
小規模な場合は公益事業として実施するケースもあり、実態に応じた判断が必要です。
また、本制度は補助金ではなく給付であるため、区分経理が求められます。
余裕活用型の場合は、サービス区分を設けた会計処理が一般的です。

・非課税措置(第二種社会福祉事業の場合)

消費税:資産の譲渡等は非課税
地方税:不動産取得税、固定資産税、都市計画税、事業所税等も原則として非課税措置の対象となります

本制度は、単なる預かりサービスではなく、孤立しがちな在宅育児家庭を専門的に支えるセーフティネットとしての側面も有しています。
地域ニーズを的確に捉え、法人の専門性をどのように活かしていくか。
2026年度の本格実施に向け、今から市町村との連携や体制整備を進めることが、今後の法人経営において重要な一歩となります。