MCDBとは?現状の課題
医療法人は都道府県に経営情報を提出しており、その情報をもとに医療法人の経営情報データベース(MCDB)が構築されています。このデータベースは、診療報酬改定の根拠として活用されており、2026年度診療報酬改定では、すでにMCDBを活用した施設類型ごとの費用分析が実施されました。
しかし現状では、任意報告の項目が多く、データの網羅性に課題があります。たとえば保険診療収益と自費診療収益の内訳も任意とされており、費用面でも「その他の医業費用」の占める割合が高い診療所において、必須記載は水道光熱費のみで、交際費・消耗品費・通信費などは把握できない状況です。
今後、義務化が検討されている項目
財政審での議論では、以下の点について2026年中に見直しの結論を得るとされています。
①職種別の給与・人数の義務化
医療従事者の処遇改善を適切に進めるうえで不可欠な情報ですが、現在は任意提出です。匿名化されたデータであり個人情報の問題はないとして、義務化の方向で議論が進んでいます。
②役員報酬の把握
診療に従事する役員は、給料・賞与のみがMCDBの報告対象で、役員報酬は除外されています。そのため、給料・賞与と役員報酬を両方受け取っている役員の実際の報酬水準が把握できない状況です。
③MS法人などとの関連取引の把握
いわゆるMS法人(メディカルサービス法人)など、経営上特別な利害関係にある法人との取引を多く含む医療法人の場合、表面上の収支・利益率だけでは経営実態を正確に捉えることができません。医療法人が提出している「関連事業者との取引に係る報告」のさらなる活用が求められています。
概算経費率への影響も要注意
参考資料には、社会保険診療報酬の所得計算の特例(いわゆる「概算経費率」)についても言及があります。
この制度は小規模医療機関の事務負担軽減を目的としたものですが、適用者の約86%が実際の経費を計算したうえで有利な方を選択しているという実態が会計検査院から指摘されており、「概算経費率を使う合理性が低下している」との見方が強まっています。
現在も個人開業医の約26%が適用中であり、廃止・縮小となれば税負担に直結する影響が考えられます。MCDBの運用強化と連動して見直しが進む可能性もあり、動向を注視する必要があります。
「経営実態に基づいて診療報酬が決まる時代」が来る
令和10年度以降の診療報酬改定に向けて、MCDBの報告様式の精緻化が進められています。これは言い換えれば、「経営情報が診療報酬に直接反映される時代」が近づいているということです。
日頃から正確な経営情報を把握・管理しておくことが、今後ますます重要になります。制度改正の動向については、今後も継続してお伝えしてまいります。ご不明な点はお気軽にご相談ください。
2026年4月、財務省の財政制度審議会分科会で「持続可能な社会保障制度の構築」をテーマに議論が行われました。医療・介護・年金など幅広い論点が提示されましたが、今回は医療機関の経営情報「見える化」の加速についてご紹介します。